僕と美容師とJHA
昨日、JHAの2016ファイナリストが発表された。
言わずもがなクリエイティブやデザインを謳う美容師ならば誰もが意識する美容界のデザインアワード。僕は今年もなんとか大賞部門ファイナリストにノミネートされた。
正直、本当に嬉しいし、ホッとしている。
思えば美容師をはじめた頃の僕はクリエイティブとは無縁の美容師だった。
美容師は目の前のお客様を喜ばせる仕事だしリアルな需要を供給していく仕事だと思っていた。
来たお客様の求める声を聞き、それを満たすことだけが美容師だと思っていた。
しかし、そんな僕が送っている毎日はうだつの上がらない平々凡々な日々。
そして、ある日、美容師を辞めた。
自分が本当に何をしたいのか?ということを見失い、 美容師という職業じたいに迷いを感じてしまったのだ。
当時、働いていたサロンは活気のある前向きなサロンだったし、 決して環境が悪かったわけではなかった。 辞めた一番の原因は「自分自身」だった。
若い頃の僕はなんでも人のせいにして、 「あの人はこうだから」「うちのサロンはこうだから」「働いているエリアがこうだから」 と、現実的に自分がうまくできない理由を探すクセがあった。
技術においても接客においても、美容をとりまく全てにおいて 一番最初の夢をまったくどこかに置いてきて、ただ消費していく毎日。
しっかりとしたヴィジョンもない。教えられたこともまともに身に入らない。 そして、ある日、その自分自身で追い込んだ現実から逃げ出した。
2年後。
紆余曲折し改めて美容に戻った。
その時に決意した。
やるからには夢をもってやろう。
そして誰かに夢を与えられる美容師になろう。
東京で再スタートした。
最初はとにかく有名になりたかった。
なんでもいいから人に注目されたい一心だった。
やれることは何でも首を突っ込んだ。
読者モデルやDJもその頃から精力的にやり始めた。
使えるチャンスは全部使った。
数年後、内田聡一郎は名前の通る有名な美容師になっていた。
スタイリストデビューしてからはお客さんも爆発的に増え、売り上げもかなり調子が良かった。
毎日、満たされていた気がした。
しかし、気がしていただけだった。
しばらくすると、指名してくれていたお客さんが減った。
そして、ある日こんな噂が流れていることを知った。
『内田って読者モデルでDJやってて有名だけど下手らしいよ。』
と言われていた。
ショックだった。
自分では頑張っていたつもりが蓋を開けたらただのイロモノ美容師になっていた。
それなりにサロンの昇格試験を頑張り、それなりに技術やセンスを磨いてきたつもりだった。
それでもお客様を満足させられていなかった。
自信をなくした。
お客様を担当するのが怖かった。
でも一度辞めた美容師をもう逃げることはしたくなかった。
もがいてもがいて毎日、突破口を探した。
そんな時、とある美容業界誌の撮影依頼が来た。
自分のセンスや技術を試す機会だった。
一生懸命やった。
その雑誌が発売してページを開くと自分の作品が扉で大きく掲載されていた。
それを見た人が『良かったよ』と褒めてくれた。
とても嬉しかった。
そして思った。
自分のアイデンティティーはここだ。
少しずつ自信が持てるようになり、ヘアデザインを追求する楽しさを知った。
それから数年間、現在も日々、美容師におけるデザインやクリエイティブに勤しみ、
そうすることで得られたお客様からの支持や頂ける仕事の量は計り知れない。
話を戻すと、特に今はJHAのようなアワードを獲ることは今までやってきた自分を肯定するために必須なミッションだと思っている。
だからこそ今回のファイナリストは僕にとって本当に嬉しいことなのだ。
最近はオリンピックやイチロー3000本安打のニュースで改めて実感する。
努力してる奴しか結果は出ない。
今は多様性の時代。
成功の在り方や幸せの定義は誰かに押し付けられるものではなく自分が納得して生きられればそれでいいと思う。
ただ、一つだけはっきりしていることは
成功しても失敗しても嬉しくても悲しくても楽しくても辛くても その起こりえる事態はすべて自分自身のせいだということ。
やるからにはやれた方がいいに決まってる。
そのために自分自身が強く夢を描き、「思い描いた自分になるための行動」をする。
人生楽しくするためにね。
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